熊本家庭裁判所 昭和40年(少)110号
主文
少年を中等少年院に送致する。
理由
(非行事実)
少年は、昭和四〇年一月○○日午後九時過ぎごろ、○田○広(昭和一九年生)、U・S(昭和二二年生)、同T・I(同年生)、M・I(同年生)、K・M(同年生)およびM・K(同年生)らとともに熊本県玉名郡○○町大字○○所在パチンコ店○○会館内で遊んでいた際同会館内でパチンコ遊技中の○本○代(昭和二一年生)および○本○野(昭和二三年生)を認め話しかけたりしているうち、共謀のうえ同女らを強いて姦淫しようと決意し同女らを前同大字○○○番地所在の右○田方四畳半の間に誘いこみ、帰宅したがる○本○野の手袋をかくし、あるいは帰ろうとする○本○代の前に寝転んで帰路をふさぐ等してひきとめ翌一月××日午前一時ごろ右○田が○本○野の後方からその肩を掴み、T・Iが室内の電燈を消燈し、右○田が抵抗する同女を引き倒し、少年が援けを求めて呼び声をあげようとする同女の口を右手で押さえる等の暴行を加えて抗拒を不能ならしめ○田が同女の下半身の着衣を引きおろしたうえ別室に引つぱりこみ仰向けに押し倒しその身体上に乗りかかつて強いて姦淫し、ひきつづき少年T・I、U・S、M・Iが同様同女を強いて姦淫し、その際少年らの右姦淫行為により同女に対し処女膜裂傷の傷害を負わせたものである。
(罰条)
刑法第一八一条、第一七七条前段、第六〇条
(処遇等について)
少年は、昭和三六年に暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害の非行において主謀者的役割を果し、当裁判所で厳重な訓戒を受けた後不処分決定の告知をうけたが、その後道路交通法に違反する所為に及びさらに本件非行を敢行したもので、裁判所の訓戒、保護が少年に対してさしたる保護的作用を果たさなかつたことが認められる。
少年の保護者は従前から少年の保護に対し相当の熱意を示してその行動に対し、しばしば注意をしていたことは認められるが、事実は十分に少年を保護することができず、少年は本件U・S、T・I、M・Iらと親交を結び夜間頻回外出しパチンコ等の必ずしも健全とは言えない遊技に耽り、本件もパチンコ店での交友に端を発したもので、自ら被害者の口をふさぐ等の暴行を加え卒先順位を争つて本件姦淫行為を実行しており、しかもその結果については少年である故に当然警察、裁判所等から注意をうけた後、日ならずして帰宅し従前通りの生活を続けることができるものと考えていることが窺われ(なお本件非行が実行された熊本県玉名郡地方に最近少年の集団によつて実行される兇器を携えての強盗や本件類似の多数人による強姦行為が多発し、しかもこれら非行少年の多数が寛大な処分を当然のこととして期待する傾向のあることは当裁判所に顕著な事実である。)本件非行の重大性に対する認識が著しく欠けていることが認められる。
以上の次第であるから本件の被害者○本○野がその行動に若干慎重を欠いていたとの譏を免れないにしても、少年に対し事案の重大性を理解せしめて将来の再非行を防止するためには、少年を中等少年院に送致するのを相当と認める。よつて少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項後段を適用して主文のとおり決定する。
なお本件送致事実中、前記日時ごろ前記○田方で少年らが共謀のうえ○本○代を強いて姦淫しようとしたが逃走されたため未遂に終つたとの点については少年らが同女を強いて姦淫することを共謀したことは認められるがその手段としての暴行脅迫行為を実行するに至つたことの確証がないので右事実については少年らを処分しない。